Tight medical works代表、救護ディレクター、生き物好き救急医。

本日は、トレイルランニングレースの救護体制の構築に尽力されている稲垣泰斗先生をご紹介させて頂きます。

トレイルランニングレースは、山や森など、未舗装のトレイルコースで行われるランニング大会です。稲垣先生ご自身もレースに数多く出場し、国内外の100マイルレースを完走されるほどのトレイルランニング愛好者さんです。

トレイルランニングレース中は転倒による怪我はもとより、体調不良、病気の発症、熱中症など様々なトラブルの可能性がありますが、市中のマラソン大会と違ってコースが山中である事から、救護や搬送に時間がかかる事があります。

このようなアウトドアにおける救護体制を確立するために、医療に従事する仲間達と救護現場を支えておられます。 それでは、稲垣先生へのインタビューを掲載させて頂きます。


はじめまして、稲垣 泰斗と申します。 登山やトレイルランニングを趣味にしている救急医です。 信越五岳トレイルランニングレースやMt.FUJI 100など、さまざまなトレイルランニングレースの救護ディレクターをしています。 また、ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパンという野外災害救急法を教える団体でメディカルアドバイザーをしています。

Q1. 先生の山岳医療や救護活動に従事する事になったきっかけがあれば教えて下さい。

救命センター勤務時代に、トレイルランニングの大会で発生した傷病者を主治医として担当したことがきっかけです。このできごとから、個人のファーストエイドだけでなく、山岳スポーツイベントでの医療救護体制に目を向けるようになり、いまの活動につながっていきました。

ステージレース「白山ジオトレイル」の帯同医。こんな働き方をしている救急医もいます。

Q2. 今までの活動内容を教えて下さい。

各地で行われているトレイルランニングレースの救護ディレクションをしています。救護ディレクションとは、各レースに合わせた最善の救護体制を考え提供することです。そのためにレースの把握から、救護スタッフのリクルート、配置、教育、救護物品の手配、救助・医療機関との連携など、さまざまなことを行っています。

Q3. 活動してきて良かった事、これからやりたい事を教えてください。

始めて10年以上になりますが、当初お手本はどこにもなく、山岳スポーツイベントにおける救護体制を0から作っていくような作業でした。 長く続けてきたことで、関わる医療従事者の輪が広がってきたことを実感しています。そんな仲間たちが活動しやすい体制を整え、現場で必要な(山岳医療を含む)野外医療の知識を深めていってもらう、ということも意識しています。

IZU TRAIL Journey の救護チームのメンバーと

Q4. 登山者へ伝えたい事があれば教えて下さい。

他人に言われるようなことでは無いのかもしれませんが、山を好きになって楽しんでもらえたらそれが一番だと思います。“好きこそものの上手なれ”ではないですが、ハマっていくうちに安全やトラブルシューティングにも目が向くようになってくるでしょう。そんなとき、我々の発信や野外災害救急法の講習などで野外医療の知識・技術を得ていただけたら良いなと思います。絶対にタメになりますから!笑

ウィルダネスメディカルアソシエイツジャパンのメンバーとしてカナダで学会発表。日本にWilderness Medicine(野外医療)を広める活動もしていきます。

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